2020/08/18 06:31

この不安定の時世の中、昨日、ルツェルン・フェスティバル開幕に行きました。
コロナでフェスティヴァルをやむなく中止が決定になったのが5月ごろで、数週間後、政府より1000人以内なら催しものができることになり、ルツェルン・フェスティヴァルは、ライヴコンサートを全部諦めなかった!😲
本当はテーマは、「喜び」だったのに、コロナ対処のプログラムのため、モットーを「Life is live」に変えて、スイスの音楽家を中心に小編成や措置をとってコンサートを実施されました。
79歳のマルタ・アルゲリッチがベートーヴェンの1番のコンチェルトを弾いて、第2番のシンフォニーをルツェルン・フェスティバル・オーケストラが93歳の指揮者、ヘルベルト・ブロムステットと演奏しました。彼はスウエーデン人でルツェルンに住んでいるそう。

ルツェルン・フェスティバル開幕コンサートには、今まで行きたくても行けなかった。(アボナメントのお客がみなさっそう買ってしまって、最後には一番高い券しか残りがなく、手がだせませんでした。)
この急な決定のおかげで、チケットも買え、初めてこのオーケストラが聞けました。そして何よりマルタの演奏が聞けるのを本当に楽しみにしていました。😃
いろいろな意味ですごいコンサートで、今日いい批評が新聞にでていましたが、自分が演奏家なので、演奏の感想、感動だけを書きたいと思います。

昨日は感動で胸が熱く、あまり眠れませんでした。
マルタの演奏は天使のようでした。このようなピアニストを聴けるというのは、神様からの贈り物といいきれる演奏をしてくれました。
彼女の感情やテクニックは、際立つ要素ですが、私は、彼女が素晴らしい室内楽奏者であるのをすごく尊敬しています。楽曲全体をつかんで、作品の本質を引き出し、心を魅了する演奏をするのをいつもすごいと思っていました。ラヴェルのコンチェルトなんてなんと理想的なアンサンブル・ピアニストなんだろうと思っていました。
ベートーヴェンの1番は、マルタの十八番だと思いますが、昨日は、オケが35人という少ない編成のため、透き通ったストラクチャーでしたが、彼女は、絶妙の塩梅でピアノの音をオケにまぜていました。すごいデリケートな室内楽をオケとマルタがやって、聴く側は楽しませてもら
うばかりでした。
彼女の音楽全体を捉える力と独自のファンタジー、まるでインプロビゼーションのようなパッセージ、羽が生えて空へ溶けていくようなフレーズなどに魅了されっぱなしでした。
こういう魔法の音色は、彼女の卓越したペダリングにもありました。(ピアニストなので技術的なすごいところも盗んで学びたいです。)

私が、まだまだ未熟な音楽家であるよう、音楽の意図や表現と格闘して、「やっている」ということになってしまっています。マルタの演奏は、人間の意図を超越して、このハ長調という純の音楽を自然そのものに流れだしていました。
それは、私には天使、神業のようでした。禅の世界、無になった境地のようでもあるかと思いました。

オケがすごいなあと思ったのは、オケが一人一人いいミュージシャンで、アンサンブルという合わせる内容でも自由なスペースを与え合って(聞き合って)、豊に響かせている。管楽器とのかけあいとかソロとか、すごい楽しかった。熟したミュージシャンの技ですね。指揮者のブロムシュテットもオケも皆が、繊細に聞き合って一緒に音楽をしているのにも深く感動しました。

指揮者のブロムシュテットも超越していました。一貫したアイデアと若々しさ!で驚かせてくれました。彼は、コロナロックダウンの自粛生活の時、まだ演奏したことのない楽曲をひたすら勉強していたそうで、近年是非演奏したいって、インタビューでも言っていました!
すごい音楽家魂と生きるエネルギーですね。

写真をみたら、マルタも79歳に見えない!すごい綺麗ですね。
こんな幸せにさせてくれる音楽を奏でてくれて、「本当にありがとう」に尽きるコンサートでした。😊 ♥️♥️♥️♥️♥️

人生は生きているもの、「Life is live」のモットーを言い切った演奏会でした。


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