2021/06/12 05:32

   カトリン・グラフ先生の2021年5月21日から24日間のリートのためのマスタークラスが行われました。80歳を機にマスタークラスを引退されれるのを決意されていました。場所は、先生のお家で、ボーデン湖の麓にある Triboltingenという村です。ドイツとの境で、自然保護地区で野鳥がたくさんいる非常に美しいところです。6人参加され、一人以外は、全員職業音楽家で、ソリストとしての歌手もいらっしゃいましたが、コーラスの指揮をやっている歌手や、若者コーラスの指導をしていたり、現代曲専門の歌手もいたりでした。

今回のすごかったのは、聴講者の方が、非常に熱心であったことです。聴講される方の層は、幅広く、開催を促され企画者であるスイス音楽教育連盟トゥールガオ地区代表の声楽の先生、オペラ歌手、心理学の大学教授、言語治療学の先生、バーゼル音大のコレペティの教授、ヴァイオリンの先生もいらっしゃいました。

私はカトリン先生の声楽クラスをチューリッヒ芸大の時から伴奏してきましたが、今回は、最後になってしまうこのコースを忘れないようにしたかったので、映像をとったり、メモしながら臨みました。プログラムは、先生の現役時代と同じで、金曜の夜に集まり、先生のところで食事を頂き、その後、ひとりづつ1曲披露する。そしてコース本番は、土曜の朝9時半から(コロナがなかったら、9時から共同の発声)お昼まで。午後15時半からまた夕食まで。そして夕食後もう1時間という、全部で8時間を2日間やり、最終日は、午前普通のレッスン、午後はコンサートでした。
(先生のお家で、屋根裏が音楽室です。昔の郵便を受け持っていたお家と書いてあります。)

今回に強く感じたのは、先生が全体をきちんと聴かれて、一人づつの歌手に助けとなるアドバイスをされ、良いところを称えられていたことです。音楽をやっていると自己批判をしすぎる傾向にある、それをこのコースではやめ、(批評家を外に出しましょう!)そして良いところをどんどん取り入れましょうとうい意で行われました。参加者、聴講者の方にも感想を求められ、音楽への愛を共有したり、お互いに励ましあって進んで行きました。

このようなマスタークラスは、先生の長年の教える経験と人としての生き方を感じるものでした。
そして音楽に没頭できる週末になるよう、食事の面倒を全部みてくださり、サポートしてくださった心理学の先生と先生の妹さん、そして先生のパートナーの援助がなくては、叶わないとても思いの熱いマスタークラスでした。


(お昼休みに散歩に行った時。ボーデン湖)



(夜の散歩。長い1日のワークの後、自然は、癒してくれました。)

そんなこんなで、本当に名残惜しい最後のマスタークラスでした。
カトリン先生は、私としかリートのマスタークラスをしないと企画者の声楽の先生にいっていたと、後でその先生からききました。そして先生に最後にもあなたの長い集中力は、超人的だと言ってくださり、素晴らしい共同ワークだったと満足して下さっていました。
先生の信頼と尊敬に心から感謝しています。本当に長い間、私たちに素晴らしい音楽の喜び、音楽への忠実さ、愛情を伝えてくださりありがとうございました。

*ユーチューブにマスタークラスの短いドキュメンタリーを限定公開であげました。先生の練習の仕方もいれてあり、参考になるとおもいます。私のコースに参加してくださった方には、リンクをお知らせしています。
ドキュメンタリーに出てくる曲は、1 ヴェルデイ, Deh pietosa oh addolorata (ゲーテのグレートヒェンのイタリア語版)、2ヴォルフ、Um Mitternacht(メーリケ), 3、ヴォルフ、Der Schäfer(ゲーテの詞で怠け者の羊飼いのお話!)最後は、4バーバー、Sure on this shining night です。
後は、練習方法とか先生が見せてくれているのが、みれます。息の流れかたをよくするための発声方法。