2023/06/02 07:01

このエルヴィリッシマ声楽コンクールは、歌手であった、エルヴィーラ・リューティ・ベグマンさんの若い歌手を支援する目的の基金が開催するコンクールで、2年に一度行われます。スイス全国から参加でき、年齢制限は、30歳までです。賞金は、一位が9600フラン(100万円程度)、二位が4800フラン(50万円程度)、三位が2000フラン(20万程度)、四位が1000フランです。

コロナが終わり、マスクもなしで、歌える2023年のファイナリスト17人の伴奏を先日の祭日に務めました。

課題曲はないですが、3言語以上の歌曲、アリア、3種類以上の異なる時代に、一つはモーツァルトアリアを入れ、全部で5曲用意するのがルールです。ファイナルで自分の伴奏者の持ち込みはできません。その中から当日は2、3曲10分程度のプレゼンテーションになります。

前もって、違う日に公式伴奏者と30分間リハーサルができます。それで彼らは、自分の要望やお互いの感覚をつかみ、本番はぶっつけです。
このコンクールは歴代のシアターのコレペティトーアが担っていたのですが、退職もされ、前回は、某シアターのコレペティが不評だったため、今回は、私に依頼がきました。不安もあるけど、名誉ある仕事だと思い、仕事を受けました。
ファイナルは、20人ほどの歌手が、一人10分程度で、全日で、50曲ほどの伴奏になると聞いておりました。😵ハードなのは、もう既にわかっています。 
一次のビデオ審査のあと、1ヶ月未満にファイナルの曲がでそろい、私にお知らせ頂きます。以下は、47曲のファイナルの曲を1ヶ月弱で準備にあたっての私のやり方や見解を書いてみました。

何が来るかなあと、心配していましたが、蓋をあけると、来て欲しくないバーンスタインのキャンディードのアリアがまずあり😰、メシアンの「ミ」のためのポエム、メノッティのアリア、ボルコムという知らない現代作曲などありました。かなり時間取られると見込み、まずそれらから制覇していかなくては!と、練習にとりくみました。
知らないヴェルディの バスアリアや、モーツァルトのアリアでも知らないアリアも多々あり、全部制覇して弾けるまで、時間はかなりかかりそうと、判断しました。
モーツァルトのオペラ「偽の庭師」から、ラミロ、アルミーラのアリアは、強弱がフォルテかピアノしかなくて、テンポが速く、強烈な感情のアリアで、😵びっくりでした。有名歌手から学生などのいろんな録音を聞いて、参考にしながらオーケストレーションとテンポで弾けるよう、特訓しました。特にテンポが、ゆらがないか、携帯で録音して自分の弱いところをいつも直さなくてはいけませんでした。

ボルコムという作曲家のキャバレーの「アモール」は、音楽は、ジャズ風で、ユーモアで楽しいけど、リズムを特訓しないとすぐ間違え、結構苦労しました。
メシアンは、譜読みとそれをテンポで弾けるまには、かなりの仕事量だけど、好きなだけあって、リハでは、歌手も歌い慣れていたおかげもあり、1回で合わせれ、行けそうだと思いました。😃
音楽的にあまり共感できなかったベルリーオーズのマイナーなバリトンのアリアは、なかなか進まず、リハーサルでもすんなり来ませんでした。いやでも練習を続けていくと道がやっと見えてきたので、なんとか音楽的にまとめれました。😌

蓋を開けてみると、それぞれのリハーサルは、とっても楽しかったです。🤗 準備万端できてくれたおかげです。☘️
そして人間性も見れ、温かさやユーモアを感じ、コンクールというより、二人で本番、楽しんで乗り切ろうね!というふうにリハーサルを締めれました。🌺 それは、私にとってとても大事で、死ぬ思いでコンクールに参加するのとは違います。

やはり最初の2週間の譜読みは、曲が多すぎて、音、音!で、頭はパンパンになり、かなりしんどかったです。😣
3週間目から、少し楽になり、リハーサルもぼつぼつ入ってみましたが、録音がビデオになるときいて、かなり緊張してきました。😨
47曲のライヴを録音され、公開されるのかと思うと、心配になってきたし、いやでした。1回限りで、プレッシャーと体力消耗の時の録音を公開されるのは、ひどいと思いました。夫が、録音は音楽家の仕事のひとつと思って、やるしかないよ、と言ってくれ、そう思うことにしました。

4週目は、学校のコンサートの伴奏をしないといけなかったり、夜もコーラスの伴奏で、練習できる時間が少なくなり、体力もハードでしたが、なんとか前日まで、健康でいけました。

練習の合間🌳🍀🍄
森に行って歩いて、緑をみて、小鳥のなく歌をきくのがなぐさめで、リラックスできました。🥰そして、また練習。💪
朝はヨガをやってコンディション作りをやりました。🍒
食事は、週末に、肉料理をしっかり作り、力をつけて、前日は、魚にして、夜胃もたれしないように気をつけました。😅

そんなこんなで、心身とも好きだから没頭できる仕事に取り組みました。
演奏の仕上がりがいいとすっきり気持ちいいいので、そのために、準備は怠らないというのが、モットーです。

コンクールは、冷静さと音楽的なサポートができる伴奏に勤めました。
まず前半終わった時、審査員4人から褒めてくださいました。
ぶっとおしで、47曲もテクニック的に全部を完璧に弾きこなせる力ではないとわかっていたので、自分の長所である、音楽を提供できる伴奏を最後までやりとげるのに徹しました。
最後には、皆さんから私にも拍手をたくさんいただき、準備と私の情熱が、実ったコンクールの公式伴奏の経験となりました。😉

次回の2年後、もまた依頼していただきました。🤗

注目の審査発表では、私のお気に入り二人が選ばれ、なんだかとってもうれしかったです。🌹🥀
また共演できる日を願って!

一位になったイーヴァン・グレイは、テクニックと音楽性、ディクションも完全に卓越していました。レポレッロのアリアも素晴らしかったけど、ヴォーガン・ウィリアムとシューベルトの歌曲は素晴らしかったです!!


奨励賞ソプラノ、アリス・ポロワッシアン、まだ完全でないけど、自然体の豊かな音楽性が評価されたようです。彼女のラクメの子守唄は、圧巻でした。最後のヘンデルのアリアのダ・カーポでやった装飾音は、勇気のあるおもしろいもので、本番も笑ってしまいました。