2026/03/06 05:07

作家アン・ブロガーは、詩集を既に何冊も出版している作家で、チューリヒ大学でもラテン語、私が教えている大人のためのギムナジウムでもラテン語、古代ギリシャ語を教えている。これまで、彼女は自分の詩を、画家や音楽家と共に発表しているアーティストでもある。
そんなアンが、年末、私の音楽室を訪ねてきて、彼女の新しい詩集と私のピアノで一緒にコンサートをしないかと申し出てきた。彼女の詩集のタイトルは、「今日のただ一つの出来事」と言う。早速、読ませてもらった。無駄なものがない簡潔な詩に引き込まれていった。しかし、毎日前知識がないとわからない言葉、例えば、Kairos, Kalendaeや、例えば読んでみたら、なかなか難しいテーマAnthropozän、もあり、すぐにはわからなかった。勉強したり、旦那さんに教えてもらったりして何とかを理解したところで、どんな音楽が合うか考えてみたら、すぐに浮かんできた。現代人の感覚、ミニマルな表現、そして、普遍性の感情。これらがキーワードで、詩のドラマ性に当てはまる曲を、現代作曲家のクルタークの「遊び」から、プロコフィエフの「束の間の幻影」を中心に選んで行った。特にクルタークは、ユーモアがすごくあって、「日中に夢」という曲では、怠けてと言うテンポ表示が書いてある。😆 クルタークの曲はアンの詩にぴったりだと思った。
そんなこんなんで、曲選びもどんどん進み、(時間が大変限られていた) 1時間のプログラムを朗読と音楽で作り上げ、チューリッヒの街のど真ん中にあるグロースバッハ家で、ハウスコンサートを開催していただいた。ご夫妻は、これまでにたくさんのハウスコンサートを主催されて、アーティストの保護者である。コンサートが終わったら、飲み物やおつまみも出して頂き、テラスでお話などできる。大変アットホームで温かいコンサートである。
場所も小さいのですぐ売り切れになってしまうが、今回はコンサートで知り合った方からこんな素敵な批評をいただき、紹介に至る。読んでいただければ幸いである。💕🌸🌺
拝啓、親愛なるサトコ様
今日という日が終わる前に、ぜひお伝えしたいことがあります。先週の日曜日にチューリッヒであなたにお会いできたことを、どれほど嬉しく思ったかということです。
アンの最新詩集『Einziges Ereignis heute(今日のただ一つの出来事)』の詩に添えられた、あなたの素晴らしい解釈と音楽による演出は、本当に魅力的で、あなたが選ばれた楽曲の数々に私はすっかり引き込まれてしまいました。私たち聴衆がどれほど心を動かされていたか、きっとお気づきだったことでしょう。そして、その素晴らしい夜の余韻を皆で分かち合えたことも、なんと美しかったことでしょう。
会場を見渡すと、どこもかしこも輝く笑顔ばかりでした。私自身、「詩の芸術と音楽の芸術の共演」は本当に刺激的で心を打つものだと感じています。あなたが選ばれた曲の中には私も知っているものがいくつかありましたが、日本の作曲家……ヤシロ?の魅力的な作品は初めて聴きました。
なんという素敵な驚きだったことでしょう!
春の日々がどうかゆったりとした休息の時間となりますように……そして、そろそろ雨がやんで再び太陽が顔を出してくれますように。
心よりのご挨拶とともに
I. N

